睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは

睡眠時無呼吸症候群(SAS)のイメージ写真

睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome:略してSAS)とは、睡眠中に呼吸が一時的に停止、あるいは低呼吸になっている状態のことを言います。具体的には、睡眠中に10秒以上の無呼吸状態、あるいは呼吸が弱くなる低呼吸状態(AHI)が睡眠時40回以上ある場合に重症SASと診断され持続陽圧呼吸療法(CPAP)の適応となります。

下記の症状に心当たりがあれば、SASの可能性があります。

  • いびきがうるさい
  • 夜中に目が覚める
  • 何度もトイレに行く(夜間頻尿)
  • 寝返りの動作が大きい
  • 日中に強い眠気に襲われる
  • 起床時に頭痛がする
  • 集中力の低下
  • 疲労感

など

SASを放置すると

SASは、放置を続けると、高血圧や糖尿病といった生活習慣病を併発するリスクが高まるほか、脳梗塞などの脳血管障害、心筋梗塞などの虚血性心疾患といった重篤な病気を発症させる場合があります。
二次生高血圧の原因の1位がSASと言われています。そのため、心当たりのある方は早めに医療機関を受診し、検査をすることが推奨されます。

SASの原因

発症原因は大きく二つに分けられます。

一つ目は閉塞性睡眠時症候群(OSA)です。
OSAは、睡眠中に空気の通り道である気道が狭窄、または閉塞されて発症するケースを言います。
全SAS患者様の9割程度がOSAによって引き起こされると言われています。
原因は、肥満による首回りの脂肪、舌や扁桃が大きい、先天的に顎が小さいといったことがあります。

二つ目は中枢性睡眠時症候群(CSA)です。
CSAは、脳内の呼吸運動をコントロールしている呼吸中枢が障害を受けるなどして、呼吸が上手くできなくなってしまった状態です。
主に脳梗塞や脳出血などの脳血管障害、心不全などの心疾患の患者様によくみられます。
なおCSAの場合は、気道の狭窄や閉塞がみられることは少ないため、いびき症状は少ないです。

SASの検査

SASが疑われる場合、当院では簡易検査を行います。
検査内容としては、睡眠時の呼吸状態を測定するもので、貸し出された計測装置を使用して自宅で検査します。
検査時は鼻や指先などにセンサーを装着した状態で普段通り眠りにつきます。睡眠中の無呼吸や低呼吸の状態を装置が測定します。
AHI40以上の重度のSASが認められた場合はCPAP(持続的陽圧呼吸療法)を開始します。
AHI20−39の中等度のSASと診断されても症状が強い場合は、詳しい検査をしてCPAPが必要か判断するため、医療機関で一泊して追加検査をされた方が良いと思います。

治療について

原因や症状の程度によって治療方法は異なります。
閉塞性睡眠時症候群の患者様で、中等度と判定された場合、治療用の専用のマウスピースを作成し、睡眠時に装着することで呼吸状態を改善させます。
重度度と判定された患者様にはCPAP(持続陽圧呼吸法)療法が用いられます。
CPAPは、加圧された空気を気道に向けて送気する装置を用いた治療法です。睡眠時に鼻マスクを装着し、鼻から気道に陽圧をかけながら空気が挿入されることで、気道の狭窄や閉塞が改善され、いびきや突然の目覚めなどの解消が期待できます。
CPAPでの治療中は定期的な通院が必要です。睡眠中CPAPが十分に機能しているか調整させていただきます。

それ以外のSASの原因が、扁桃肥大、顎が小さいといった場合は、手術での治療が実施されます。
その他にも、肥満の方は減量をするなど生活習慣の見直しも行います。
中枢性睡眠時症候群の患者様であれば、原因疾患(脳血管障害、心不全など)に対する薬物治療や、必要に応じて在宅酸素療法が行われます。